学校法人の主要財務比率まとめ①(事業活動収支計算書編)


大学は、財務情報を公表する必要があります。


学校法人の財務情報って何?公開の必要性は?


では、その公表された財務情報を、どのように活かすことができるでしょうか?


正直、数字だけ見ても、何が良いのか、悪いのかなど、わからないかと思います。

私自身、わかりません。(笑)


他の法人と単純に数字を比較しても、学校法人毎に規模や研究分野、収益事業の有無などの背景が違いますから、それによって優劣を見ることも難しいです。


こうしたことから、学校法人の財務について、効果的に比較できる指標として、「財務比率」があります。


これについて、まとめます。


事業活動収支計算書から分かる主な財務比率

各大学にて公表している事業活動収支計算書に掲載されている金額から計算が可能です。

特段の知識の有無や数字の得手不得手は関係ありません

人件費比率

人件費÷経常収入
人件費の経常収入(通常の事業活動によって得た収入)における割合。低すぎても高すぎても良くない。


人件費依存率

人件費÷学生生徒等納付金
人件費を学生生徒納付金だけでどれだけ賄えているかを示す割合。原則として、100%を超えないことが理想。


教育研究経費比率

教育研究経費÷経常収入
教育研究経費の経常収入における割合。低すぎても高すぎても良くない。


管理経費比率

管理経費÷経常収入
教育研究経費の経常収入における割合。教育活動以外の目的による経費であるので、低いほど良い。


借入金等利息比率

借入金等利息÷経常収入
借入金等利息の経常収入における割合。低い方が良い。


事業活動収支差額比率

基本金組入前当年度収支差額÷事業活動収入
事業活動収入のうち、基本金組入前の当年度収支差額が占める割合。プラス、かつ高いほど良い。


基本金組入後収支比率

事業活動支出÷(事業活動収入-基本金組入額)
事業活動支出の事業活動収入から基本金組入額を差し引いた額における割合。原則として、収支が均衡する100%前後が良い。


学生生徒等納付金比率

学生生徒等納付金÷経常収入
経常収入のうち、学生生徒等納付金が占める割合。一定割合で安定的に推移するのが良い。


寄付金比率

寄付金÷事業活動収入
事業活動収入のうち、寄付金が占める割合。高いほうが良いが、年度によって増減が激しい。


経常寄付金比率

教育活動収支の寄付金÷経常収入
経常収入のうち、教育活動収支の寄付金の占める割合。経常的な寄付金の割合で、高いほうが良い。


補助金比率

補助金÷事業活動収入
事業活動収入のうち、補助金の占める割合。どちらかといえば高いほうが良いが、低すぎても高すぎても良くない。


経常補助金比率

教育活動収支の補助金÷経常収入
経常収入のうち、教育活動収支の補助金の占める割合。低すぎても高すぎても良くない。


基本金組入率

基本金組入額÷事業活動収入
基本金組入額の、事業活動収入における割合。原則として、一定割合で安定的に推移する、または高いほうが良い。


減価償却額比率

減価償却額÷経常支出
経常支出のうち、減価償却額の占める割合。どちらともいえない。


経常収支差額比率

経常収支差額÷経常収入
経常収入のうち、経常収支差額の占める割合。経常的な収支バランスを表し、高いほうが良い。


教育活動収支差額比率

教育活動収支差額÷教育活動収入計
教育活動収入のうち、教育活動収支差額の占める割合。本業である教育活動の収支バランスを表し、高いほうが良い。


終わりに

以上が、現在の学校会計基準における主な財務比率(事業活動収支計算書編)でした。

様々な費用面の見直しなどの面で、他大学との比較したりで活用できると思います。

貸借対照表における財務比率は以下から御覧ください。


学校法人の主要財務比率まとめ②(貸借対照表編)