同じガクシュウと読み、意味合いも近いと思われる「学修」と「学習」という言葉ですが、大学教育に携わる者としては、これらの違いを分かっておきたいですね。
かくいう私も、つい最近までよくわかっていなかったので、ここで一度まとめてみたいと思います。
とりあえず大学においては「学修」で統一でいい、くらいの認識でした。
「学修」と「学習」の違い
まず、言葉そのものの意味です。「学習」・・・習い学ぶこと。
「学修」・・・学び修めること。学んで身につけること。
意味合いとしては、読んで字の如く、といったところでしょうか。
学ぶという観点で言えば同じことですが、ポイントとしては「学習」が「ただ学ぶこと」なのに対し、「学修」は「学び身につける」までを意味的に網羅している点です。
学ぶという行為を時系列的な直線で例えるのであれば、「学習」は一時的な「点」であり、「学修」はそれを積み重ねて修めるまでの「線」といった解釈になります。
また、平成24年の中央教育審議会の答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学~」では、以下のような記載があります。
大学設置基準上、大学での学びは「学修」としている。これは、大学での学びの本質は、講義、演習、実験、実習、実技等の授業時間とともに、授業のための事前の準備、事後の展開などの主体的な学びに要する時間を内在した「単位制」により形成されていることによる
新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申):文部科学省
この注意書きからもわかるように、大学における学びについては、「学修」と表すものとされるのが、原則的な考え方と言えます。
授業のための事前準備・事後展開など、「線」としての学びであり、それが単位制の考え方であるからです。
例外的なもの
「じゃあ、大学においては全部学修でいいんだ」と言えるかと言えば、そうでもありません。同じ答申の中の用語集の中のアクティブラーニングの説明では、以下のように記載があり、「学習」の言葉も使われています。
発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。
これについては、大学での学びの中でも、「点」とする部分や、手法としての言葉であるため、用いられているものです。
これらは大学での学びという大枠での「学修」があり、その中のカテゴリのひとつとしての「学習」と捉えて考えるべきでしょう。
終わりに
少し混乱しがちですが、これらが、大学教育における「学修」と「学習」の違いとなります。基本的には、「学修」で統一、と考えても問題はないかもしれませんが、これらの違いをしっかりと理解して、使い分けられると素晴らしいと思います。