1単位=45時間の学修の考え方

そもそも単位とは?

大学生の頃は漠然と「単位欲しい」と思ってきましたが、そもそも単位って何だかわかっていないで言っていた気がします。
大学における単位制度の定めは、大学設置基準に記載されています。
【大学設置基準】
(単位)
第二十一条 各授業科目の単位数は、大学において定めるものとする。
 2 前項の単位数を定めるに当たつては、一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、次の基準により単位数を計算するものとする。
  一 講義及び演習については、十五時間から三十時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。
  二 実験、実習及び実技については、三十時間から四十五時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。ただし、芸術等の分野における個人指導による実技の授業については、大学が定める時間の授業をもつて一単位とすることができる。
  三 一の授業科目について、講義、演習、実験、実習又は実技のうち二以上の方法の併用により行う場合については、その組み合わせに応じ、前二号に規定する基準を考慮して大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。
 3 前項の規定にかかわらず、卒業論文、卒業研究、卒業制作等の授業科目については、これらの学修の成果を評価して単位を授与することが適切と認められる場合には、これらに必要な学修等を考慮して、単位数を定めることができる。

ここを見てもわかるように、「1単位=45時間の学修」というのが基本的な考え方です。
ただ、45時間の授業というわけではなく、「教室等での授業時間」+「準備学習や復習の学習時間」=45時間、というのが基本的な考え方。
そのうえで、講義及び演習は15~30時間の授業と、残りの時間足して45時間で1単位だよ。実験・実習については授業時間の方を長めに取らなきゃいけない性質の授業だから、そうしていいよ、といったことが書かれています。
2単位15週間の授業の場合は、90時間の学修を要し、うち3分の1の30時間が授業時間とすると、残りの60時間が授業外での学修時間となる計算です。

ん?30時間も授業していなくない?15週×1.5時間で、22.5時間でしょ?

そうなんです。変ですよね。でも、この計算をすることが慣習化されています。
小学校は1単位時間を45分、中高では50分とする、という定めが学校教育法施行規則にあり、実は、教育上の学習時間はそちらで計算されています。
しかし大学には、1単位時間を定めた法律が実は、ありません。
ないままに、慣習や暗黙の了解のような常識として、「大学では90分=2時間」という計算がされています。
これについてはまた別途深く掘り下げるとして、ここでは、この慣習に則って説明します。

そもそもなんで45時間?

じゃあなんで、「1単位=45時間」なのでしょうか。
諸説あるようですが、最も有力とされているのが、1週間の労働時間と同等とされる説です。
1日8時間×5日(月~金)+5時間(土曜半日)=45時間、ということ。
卒業に要する最低単位が124単位と定められていますが、124週間の労働と同等という考え方になりますね。
大学の4年間で124週間だとすると、1年に31週間、(セメスタ制の場合)半期で15.5週間となりますから、多くの大学で実施されている半期15週授業との整合も取れています。

授業外学修の時間の考え方と履修上限単位数

では実際、授業外での学習を学生は必要分行えているか?と言われると、なかなか難しい問題です。
そうした面での議論はあり、今も検討材料として残っています。
2単位授業だとすると、60時間の事前・事後学修を要するわけで、1週間あたり4時間の計算です。
自分の学生時代に照らしても、一つの授業にそこまでやったかどうかと聞かれると、自信がありません。
ですが、「こうしたルールで設計されている」ということを、大学職員は念頭に置く必要があります。
これが念頭にあるかないかで、誤った判断をしてしまうことがあるからです。

例えば、履修上限の考え方。
先程、2単位授業の場合、1週間に4時間の授業外学修と言いましたが、仮に40単位を履修していた場合、その前提条件で成り立つでしょうか?
その場合、1週間で80時間、1日に約11時間の授業外学修が必要となる計算となります。
大学に9時~17時で授業に行くとして、その前後で11時間の学習…。それ以外の時間を寝るとしても、6時間しか眠れません。
前提条件を踏まえると、やはり間違っていますよね。
40単位ではなく、20単位となれば、1日5時間程度の学習になりますので、その辺りがちょうどよい時間かと思います。
このことから、半期における履修上限を25単位前後で設定している大学も多いようです。

 こうしたように、大学における単位の考え方は、あらゆる場面での判断指標となりますので、しっかりと頭に入れておくことが重要です。