内部質保証って何?


内部質保証とは?

大学関連のお話の中で出てくる「内部質保証」とは、いったい何なのでしょうか?


独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が公開している「教育の内部質保証に関するガイドライン(2017)」では、下記のように定義されています。


「内部質保証」とは、大学が自律的な組織として、その使命や目的を実現するために、自らが行う教育及び研究、組織及び運営、ならびに施設及び設備の状況について継続的に点検・評価し、質の保証を行うとともに、絶えず改善・向上に取り組むことを指す。


また、「教育の内部質保証」については、下記のように定義されています。


「教育の内部質保証」とは、大学の教育研究活動の質や学生の学修成果の水準等を自ら継 続的に保証することを指す。

内部質保証 | 独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構 大学質保証ポータル


大学の質保証に関しては、従来、文部科学省による設置認可制度や、認証評価制度、さらには各大学の自己点検・評価によって、担保されているということになっています。


外部の評価機関(認証評価機関)による第三者評価は「外部質保証」の一環であり、各大学が自らの評価を行う自己点検・評価は「内部質保証」という区分に分類されます。


なお、大学が選定した外部機関による「外部評価」は、大学の自発的な自己点検・評価にあたることから、「内部質保証」の一環であると考えられています。


内部質保証って何をすればいいの?

それでは、内部質保証というのは、具体的に何をすればよいのでしょうか?


もちろん、各大学がそれぞれに必要とされる自己点検・評価はそれぞれ異なりますが、大枠としては、分類がされています。


「教育の内部質保証に関するガイドライン」には、教育の内部質保証を実現するための仕組みとして、それを構成する主たる6項目を挙げています。


1 教育の内部質保証に関する方針と体制
大学が教育研究活動の質と学生の学修成果の水準等を保証し、継続的に改善・向上を行う ための枠組みとして、質保証の方針や体制を定めている。

2 教育プログラムの点検・評価(モニタリングとレビュー)
教育研究活動の質や学生の学修成果の水準等を保証し、継続的に改善・向上を行うため に、教育プログラム等の毎年の点検(モニタリング)や定期的な点検・評価(プログラム・ レビュー)を行っている。

3 教育プログラムの新設等の学内承認
新たな教育プログラムの設置において、その質を保証するための学内承認の仕組みを定め、行っている。

4 教職員の能力の保証と開発
教育研究活動を担う教員と教育支援及び学生の学修支援業務にあたる教職員の能力を保証し、育成・能力向上をするための方策を継続的に行っている。

5 学修環境・学生支援の点検・評価
学生が学修を行う施設・設備や資源等の学修環境、ならびに学生の学修等の相談・助言等の学生支援の施策の状況について、継続的な改善・向上を行うために、点検・評価を行っている。

6 大学や学部・研究科の教育研究活動の有効性の検証
大学や学部・研究科の使命や目的を実現するため、上記の点検・評価の結果を総合し、また、必要に応じて全学のテーマ別の点検・評価を行うこと等により、大学や学部・研究科の教育研究活動がその使命や目的に照らして適切に行われ、成果を上げていることを検証している。


上記を要約すると、


①内部質保証の方針や体制を定める

②1年おきなどで教育プログラムの定期的な点検・評価を行う

③教育プログラム設置に関する学内承認の仕組みを定める

④SD・FD活動を継続的に行う

⑤学修環境や学修状況の改善・向上のために、継続的な点検・評価を行う

⑥大学の使命実現のための点検・評価結果の総合を行い、成果検証する


といったところでしょうか。


現状、「継続的」という部分は難しいかもしれませんが、各大学ですでに行っている活動を規程化するなどして明文化したり、内容をより深化させるなどといった対応になるかと思います。


①に関しては、「内部質保証の方針」として学外に広く公表している大学も見受けられます。


内部質保証の方針|大学紹介|関西大学

内部質保証の方針

内部質保証の方針|大学紹介| 東京経済大学

内部質保証の方針

教育力の伝統校。 文教大学

内部質保証の方針・手続き

内部質保証に関する方針 | 大学紹介 | 立正大学-「モラリスト×エキスパート」を育む。


おわりに

こうした内部質保証のための自己点検により、その後の教育プログラムの改善などが図られるわけですね。


評価自体が適切に行われること、継続性があること、大学としての使命・目標へのプロセスが明確になっていること・・・などなど。

制約や障壁はあるでしょうが、こうした積み重ねが、大学をより良い場所とするための礎になっていくのだと思います。