学生死亡時の学籍の処理


あってほしくないことではありますが、学生が在学中に死亡してしまうといったことが極稀にあります。


いかなる理由とはいえ、良いことなどひとつもありませんが、こうしたケースもゼロではなく、準備とは言わないまでも考え方については整理しておく必要があります。


在学中の学生が死亡した場合、大学としてはどのような扱いとするべきでしょうか。


死亡除籍と通常の除籍の違い

学生が死亡した場合、事務手続き上、学籍簿の整理の都合で死亡とされた日をもって学生の身分を失うこととなります。


これを「死亡除籍」と呼びます。

失踪による除籍についても同様の扱いとなります。


ですが、これらは通常の除籍(学費未納など大学が、特定の事由により学生を退学させる学籍異動)とは扱いが異なることに注意が必要です。


通常の除籍については、下記記事もご覧ください。
除籍と退学の違い?学籍異動って何?


また、基本的には学則上で、死亡についての取り扱いを除籍として定めている大学がほとんどであると思います。


ですが、死亡除籍については、いわゆる学生の身分を強制的に失わせる処分としての除籍ではなく、学籍簿の整理の都合によるものであるため、通常の学籍異動とは異なる処理をしても問題はないかと思います。


平成27年度より施行された「学校教育法施行規則及び国立大学法人法施行規則の一部を改正する省令」(平成26年文部科学省令第25号)により、学籍の異動については必ずしも教授会の議を経る必要はなくなりましたが、そうでなくとも、教授会や学長の決定を必ずしも要する手続きではありません。

学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律及び学校教育法施行規則及び国立大学法人法施行規則の一部を改正する省令について(通知):文部科学省


学内関係各所への連絡は必要かと思いますが、事務手続き上は、粛々と学籍簿の整理を行う、といったことになります。


死亡時の必要書類や手続きの依頼

死亡に関して、ご遺族から死亡証明などの書類を求めるべきでしょうか。


通常の手続きであれば、なんらかの証明書類やエビデンスが必要であるとは考えますが、死亡したことが大学側からでも確認可能な場合については、ご遺族の方々のお気持ちを考えると、そうした書類を求めることは、できるだけ避けるべきかと思います。


もちろん、除籍の通知などを送付するのも避けるべきです。


死亡のタイミングと処理

在学中であれば、死亡日で死亡除籍扱いとなりますが、入学前や卒業直前、卒業後ではそのように扱うべきでしょうか。


入学前であれば、入学が取り消されることになるかと思います。


卒業後であれば、学籍については特段の処理を必要としないでしょう。
ただし、卒業後のアンケートや各種連絡についてはできるだけ控えるべきでしょう。


卒業直前(例えば、卒業が確定したあとの学位授与前の卒業旅行中の事故等)ではどうでしょうか。

ここまで述べた通り、学籍簿上は死亡日で除籍扱いとなるでしょうから、学位授与前であれば、当然学位は授与されることなく、卒業としての扱いはできなくなるでしょう。

ですが、ご遺族のお気持ちを考えると、そういった事務的な扱いとは区別し、柔軟な対応をするべきであると思います。

おわりに

学生が亡くなるということは、積極的に想定すべきことではないですし、なければ良いに越したことはありません。

ですので、本記事に関しては、皆様の役に立つようなことができるだけ少ないことを祈ります。